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教員紹介
熱流体工学講座
本講座は大きく分けて、熱移動、熱エネルギの活用を対象とした分野と、種々の流れとその応用、また自然エネルギの有効利用を対象とする分野から構成され、教育研究を行っています。
熱工学研究室
本研究室では伝熱工学分野と内燃機関分野に分かれて教育研究を行っている。以下に各分野における主な研究テーマを紹介する。
野底 武浩 教授、儀間 悟 准教授、水口 尚 助教(伝熱工学分野)
  1. 太陽熱海水淡水化蒸留器の開発研究
    水蒸気の凝縮潜熱を何度も再利用して、蒸発・凝縮を繰り返すことにより造水量を著しく増大させ蒸留器の開発を行っている。昨年、集熱面初当たり約15kgの進水が可能となり、最高の造水性能を記録した。ベンチャー企業が水蒸留器の製品化に成功している。
  2. 発電進水コジェネレーションシステムの開発研究
    発電サイクルの復水器を凝縮熱リサイクル型蒸留器で置き換えたサイクルにより、発電と造水が可能なシステムを開発している。造水は60〜70℃の温水として得られるため、給湯システムとしても利用できる。
  3. 高性能連続式自然塩製造システムの開発研究
    自然塩製造の低コスト化を目的に、高性能な連続式の製造システムを地元のベンチャー企業と共同で開発している。製造速度を従来の3〜6倍、製造コストを約1/3にすることを目標にしている。
  4. 吸収式冷凍機用の吸収器に関する基礎的研究
    吸収器内の吸収液の流動および吸収速度を詳細調べ、流動状況と吸収速度の関係を明らかにしてる。得られたデータは吸収器の高性能化の設計に利用される。
  5. 空冷式吸収器の開発研究
    吸収式冷凍機の利用範囲を広げるため、空冷可能な縦管群吸収器の開発を行っている。吸収速度におよぼす種々のパラメータを変えて吸収性能を明らかにしている。
  6. ノート型パソコンの高性能冷却技術の開発研究
    ノート型パソコンに搭載されたCPUの冷却に、フロリートの相変化(沸騰・凝縮)を用いた冷却システムを開発している。CPU温度を制限温度(約85℃)以下に抑える必要があるため、CPU温度に影をおよぼすパラメータを種々変化させて実験している。
  7. 平行平板群からの自然対流に関する基礎的研究
    本研究は電子機器(メモリ基板群など)の自然空冷に関連して行われている。現在は、平行平板間の自然対流におよぼす床面の影響を明らかにするために数値解析および実験を行っている。
エネルギー変換研究室
瀬名波 出 教授

強制対流伝熱促進に関する研究に取り組んでいる。

最近は主に縦渦流れを発生するポルテックスジェネレータを円管内流路に設置した場合の伝熱促進研究を行っている。

縦渦は十分下流まで持続し、伝熱管の熱伝達向上に有効である。円管内に縦渦導入した場合、縦渦は管内をらせん軌道を描きながら下流方向へ流れていく。その際の伝熱促進効果について、速度分布、乱れ強さを測定し、その伝熱メカニズムについて調べている。

また竜巻状流れが発生した場における伝熱現象について、赤外線カメラを用いた非定常計測も行っている。

松田 昇一 准教授
噴流を壁面に衝突させた場合、その岐点近傍で大きな熱伝達率や物質熱伝達率が得られることから、噴流は工業的に広く利用されている。 種々の噴口形状や噴流群から噴出させた噴流を、伝熱面に衝突させた場合について、伝熱面上の熱の流れを実験や数値シミュレーションを用いて調べている。また、噴流の流れ場を可視化することで、流れ場が温度場に及ぼす影響を調べている。
安田 啓太 助教
クラスレートハイドレートと呼ばれる化合物を対象とした研究を行っている。ク ラスレートハイドレートは水と“ゲスト物質”と呼ばれる水以外の物質とが低温 高圧の条件で反応してできる氷状の固体化合物である。ゲスト物質はメタンやエ タンといった天然ガスの構成成分から窒素や酸素といった空気の主要成分まで多 岐にわたる。

それぞれのゲスト物質に依存して幅広い物性を持つことからクラスレートハイド レートは種々の科学技術と関わりを持ち、天然ガスパイプラインの閉塞防止や海 底に存在するメタンハイドレートの資源開発が続けられてきた。あるいは極地の 氷床中や地球外の惑星など、自然界存在するハイドレートの存在も指摘されてい る。同時にゲスト物質を適切に選択することでクラスレートハイドレートを積極 的に活用する技術も提案されていて、天然ガスの輸送・貯蔵媒体としての利用や 二酸化炭素分離のための媒体としての使用などが代表的なものとしてある。

このように数多くの科学技術と関わりのあるクラスレートハイドレートを有効活 用するためには物性を把握することが必要不可欠である。そのため、種々の物質 をゲスト物質とするクラスレートハイドレート生成系の熱物性の測定を行ってい る。

流体工学・流体機械学研究室
屋我 実 教授

空気の流れが速くなり、音速に近づくと空気の弾力いわゆる空気の圧縮性が現れて様々な問題が起こる。例えば飛行機などはその最も影響を受ける場合であるが、その他に工業的な分野では高速で流れる空気を使った冷却や、高速フレーム溶射などにおいてもこの空気の圧縮性は無視できず、それによる熱伝達への影響も考えなければならない。

そこでこれらの問題を明らかにする事を目的として7気圧コンプレッサで高圧空気を発生させ、これを平板に衝突させながら流れ場可視化や衝突板の温度、圧力を測定する実験を行っている。またこのような流れ場を詳細に調べる方法として、3次元数値シミュレーションも行っており、この計算結果と実験結果を比較すると同時に計算による新たな装置の開発の可能性も検討している。

照屋 功 准教授

流体機械、例えば航空機やポンプ等の真において、はく離が生ずると性能を著しく低下させるため、はく離の抑止が必要となる。

一方、はく離後の再付着流れは、はく離に伴う大きな渦による物質混合拡散、再付着領域での高伝熱特性等の利用が注目されている。

このような流れ場を工学的に十分利用するため、はく離・再付着流れの制御および機構解明を目的に研究を行っている。

はく離・再付置流れを制御するにあたっては、流れを積極的にかき乱す(かく乱を与える)方法を採用している。

かく乱が流れ場に及ぼす影響を、周期的かく乱(一定の時間周期で変化するかく乱)、三次元的かく乱(場所毎に異なるかく乱)から調べ、工学的利用を図っている。

石川 正明 助教

PIV (Particle Imaging Velocimetry) を利用した流れの可視化画像解析の研究をしている.このPIVは粒子を流れ場に注入する流れの可視化技術とディジタル画像解析技術を併用した流速測定法である.

このPIVシステムの特徴は,計測システムによって流れ場を乱さないこと,多次元の瞬時流速分布が得られること,得られた速度データから他の情報(乱流統計量,渦度,圧力分布等)を抽出することなどが挙げられる.

対象として,自然エネルギーとして利用される風車周りの流動解析や,小気泡を含む流れ場の気泡挙動やその流動構造解析等にPIVを利用している.

熱流体工学研究室
天久 和正 准教授
風力エネルギーに関する研究を行っている。風力発電については、定格出力3kW、直径4mの小形水平軸風車を開発しており、薄いブレードや小形風車専用翼型に関する研究を行っている。また、翼素運動量理論を用いて風車性能を解析し、実験結果と比較しながら、数値シミュレーションを用いて運転制御方法について研究している。風速・風向データを元に乱流強度や定常率などの風況特性を調べ、風車の発電量予測を行っている。
永島 浩樹 助教
分子動力学法を用いたナノスケールの熱流動現象の解析を行っている。特に水素の量子効果がその熱流動特性に与える影響を、量子効果を考慮した新しい分子動力学法を用いて解析を行っている。近年水素は、クリーンエネルギとして注目されており、安全かつ効率よく利用するためにその熱流動特性を詳細に把握する必要がある。特に、ナノスケールの熱流動現象は、実験によって解明することが大変難しいため、分子動力学法による解析が望まれている。しかし、水素は、水素分子の量子効果により他の液体とは異なる特性を示すことが知られている。ここでの量子効果とは、分子量が小さいことにより水素原子核の波動関数が広がり、不確定性の影響が大きくなるという量子効果である。このため、通常の分子動力学法を用いた解析により水素の熱流動現象を把握することは難しいとされている。さらに、量子効果の数値的再現性と理論的難しさ、計算コストなどの制約から、水素分子の量子効果を考慮した熱流動解析はほとんど行われていない。

本研究では、経路積分セントロイド分子動力学法という新しい分子動力学法を用いて、水素分子の量子効果がその熱流動特性に与える影響とそのメカニズムを調べている。私の研究によって得られる知見より、高分子膜や水素貯蔵合金中でのプロトン輸送メカニズムの解明や、カーボンナノチューブなどを用いた新しい水素貯蔵技術の確立など、さらなる安全かつ高効率の水素利用技術や新しい水素貯蔵材料の開発につながると考えられる。

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