コース長挨拶
本コースの名称の一部にある「機械」という言葉は現在は幅広い意味で使われています。例えばロボットを例に挙げても単に人間の形をした物体を作るだけではなく、それを動かすためのアルゴリズムいわゆるプログラム、それを瞬時に伝える電気回路等、これまでの考え方では分けられない分野が多くできています。また近年はドローンのように簡単に飛行する機械も出現し、機械工学は3次元空間を自由に移動する物体を対象にする時代に来ています。さらに社会を構築する様々な産業界でも、機械は基幹となるインフラの一つであり多くの分野に進出していることも明らかです。一方去年から人類への大きな脅威となっている新型コロナウィルスも機械工学の対象となっています。すなわちニュースでよく紹介されるスパーコンピュータ「富岳」による飛沫のシミュレーションは機械工学分野の一つである流体力学・熱力学、伝熱工学そしてコンピュータ工学等様々な研究分野の成果の一つである。そのほか、エンジンに必要な材料の開発や強度を高める構造、逆に柔軟な材料の活用方法等、今後人類は必要とする課題を先取りした研究も機械工学の範疇となっています。
このように機械工学という昔からある伝統的な分野であるように見える学問が、人類にとって今後降りかかってくる大きな課題を克服するためのきわめて強力な手段になることは明らかです。また機械を作るためには、物理現象の観察とそれを表して理解する数学の理解は非常に重要です。そこで本コースでは現在まだ明らかになっていない様々な課題に対して、最適な課題解決方法を見出しそのための広い意味での機械あるいは機械システムを構築できるプロフェッショナルな技術者の養成を目指しています。さらに工学的な知識だけでなく社会的な常識、倫理観、人間性、社会貢献のためのノウハウ、チームワーク力、情報発信能力等を修得するための多くのカリキュラムが提供されています。本コースに入学した学生たちはこれらのカリキュラムに真剣に取り組み、学生同士、教員とのコミュニケーションを通して次の社会を担う優秀な人材になるべく毎日多忙な勉強、課外活動に取り組んでいます。その結果本コース卒業後は様々な企業への就職が決まり、多くの卒業生が社会で活躍しています。
さらに本コースには海外で活躍するエンジニアになるためのGEプログラムというグローバルな教育プログラムもあり、海外の大学へのインターンシップの制度もあります。また本コース卒業後に大学院に進学することも勧めています。大学院では本コースで習得した専門知識をさらに発展させ、より高度な応用を目指し先進的な技術、高度なシステムの開発やそれを応用し地域社会に貢献できるテーマで研究することもできます。
2023年度 機械工学コース・コース長 宮﨑 達二郎