エネルギー変換工学
海洋バイオマス利用によるCO2削減と炭素回生サイクル創出に関する研究 (瀬名波出 教授)
沖縄のきれいな海と豊富な太陽の光を利用して海藻を育てることにより、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素(CO2)の削減、さらに再生可能エネルギーの開発や炭素資源の効率的利用を行う「炭素回生システム」の研究開発を進めています。
その概要を簡単に説明すると、まず火力発電所やゴミ・汚水処理施設などから出される大量のCO2を分離回収し、そのCO2を海藻を育てるための資源として活用します。CO2を海水に人工的に溶かしこみ海藻に与えることで、海藻の光合成(成長速度)を早めるのです。この技術を用いて沖縄特産の海ブドウやモズク等の効率的養殖へも応用することで水産業に貢献することもできます。
微小・微量ミストを付加した後ろ向きステップ流れ下流の冷却 (瀬名波出 教授)
自動車のエンジンやパソコンの基盤など、私たちの身近には冷却を必要とするものが多くあります。冷却は熱エネルギーを取り去る技術であり、効率的な冷却を目指して多くの研究開発が進められてきました。そうした冷却技術を必要とする場の一つに後ろ向きステップ流れというのがあります。大きなものでは建物の後ろや、小さなものでは基盤上の電子部品の後ろと見なされます。この場所は流れが当たりにくいため冷却をしにくいのが特徴です。
本研究では、後ろ向きステップ流れ下流の冷却効率を向上させるために、空気の流れの中にごく少量の水を微細な霧(ミスト)状に噴霧する伝熱促進方法を開発しています。このような微量・微小なミストは一般にドライミストとも呼ばれていて、手に触れても濡れた感じがしない程度です。この微小・微量ミストが主流空気中が蒸発する際に周囲から熱を奪うことで主流空気の温度そのものが冷やされ、その結果、伝熱面での熱伝達率が飛躍的に向上します。
衝突噴流を用いた伝熱促進の研究 (松田昇一 准教授)
衝突噴流は、その岐点近傍で大きな熱伝達率や物質熱伝達率が得られることから、噴流は工業的に広く利用されているがその伝熱メカニズムは複雑です。 我々は、種々の噴口形状や噴流群から噴出させた噴流を、伝熱面に衝突させた場合の流れが温度場におよぼす影響を詳細に調べています。
電磁力を用いた新しい溶接法の研究 (松田昇一 准教授)
溶接中に溶融池に流れる電流に対して、外部磁場を付加することにより溶融金属中に反重力方向の電磁力を発生します。その電磁力により、入熱過大の溶接条件においても溶融金属の垂れ落ちが防止され、高効率で高速溶接が可能となります。我々はその複雑な溶融金属の流動が温度場や溶接結果(結晶組織等)におよぼす影響を詳細に調べています。
アブレーター材料の耐熱特性の研究 (松田昇一 准教授)
地球軌道から大気圏へ帰還する再突入カプセルにおいては、突入時に空力加熱によりカプセル表面の温度が1500℃以上の高温になり通常の金属などの材料を用いることができません。そのためにアブレータなどの熱防御材料が用いられます。アブレータは表面が高温になると、熱分解、溶融、炭化等(アブレーション)により内部への熱の侵入を防ぐ役割を持ちます。我々は、アブレーター材料の中でも軽量CFRPアブレータを用いた場合の温度、密度分布および必要厚さ等を数値解析手法を用いて詳細に調べています。
高効率熱交換器の実証試験 (松田昇一 准教授)
海に囲まれた沖縄において、海洋のエネルギーは使用しやすい環境にあります。我々はその中でも表層水と深層水の温度差に注目しています。沖縄県久米島では近年海洋温度差発(OTEC)の実証プラントが稼働しました。また佐賀大学らによりその温度差を利用した海水淡水化装置の実験も行われています。我々はその両者において特に重要となる熱交換器(PHE)の伝熱性能評価試験を行っています。
クラスレートハイドレートの物性と結晶成長 (安田啓太 准教授)
クラスレートハイドレート(Clathrate Hydrates、以下ハイドレート)は、水分子が水素結合で互いに結びつくことで作る籠状の構造がゲストと呼ばれる物質の分子を包み込むことによってできる氷状の化合物です。メタン、二酸化炭素などのゲストが多量に溶け込んだ氷をイメージするといいでしょう。ハイドレートはその特性から、天然ガスの輸送・貯蔵、二酸化炭素の分離・貯留、海水淡水化など多くの技術での利用が期待されています。
本研究室では、様々な環境におけるハイドレートの物性(生成温度・圧力条件など)、結晶成長の様子を明らかにする実験に取り組んでいます。これらのことがわかると、ハイドレート関連技術が従来の技術に比べてどの程度有利か評価することができ、また、技術を進展させる上でのハイドレートの取り扱について理解が深まります。
微小・微量ミストを付加した衝突噴流による冷却 (瀬名波出 教授、松田昇一 准教授、安田啓太 准教授)
動車のエンジンやパソコンの基盤など、私たちの身近には冷却を必要とするものが多くあります。冷却は熱エネルギーを取り去る技術であり、効率的な冷却を目指して多くの研究開発が進められてきました。そうしたものの一つに衝突噴流を用いたものがあります。冷却が必要な場所に空気や水を当てることで局所的な冷却を行うことができる点が衝突噴流の特徴です。
衝突噴流による冷却の効率を上昇させる方法の一つに、空気中に水を霧(ミスト)状に噴霧するものがあります。ミストが蒸発する際に周囲から熱を奪うことで冷却の効率を高めることができます。本研究室ではごく少量のミストを付加した衝突噴流による冷却について研究を行っています。ミストの量が少ないため、空気中でミストが蒸発し、空気が冷やされることによる冷却効率の向上が期待されます。
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