琉球大学工学部工学科エネルギー環境工学コース

システム計測

神経回路モデル (倉田耕治 教授)

(1)連想記憶モデルにおける忘却
神経回路モデルの一種である連想記憶にあまりに多くの記憶を詰め込むと,何も思い出せなくなってしまうが,忘却機能を付け加えると,いくら記憶を詰め込んでも最新のいくつかの記憶だけは常に保持できるようになる.様々な忘却方法を考案し,その性能をコンピュータで探っている.
(2)脳の機能配置の自己組織モデル
脳の機能の細部が経験と学習により自己組織的にできあがる原理を表す数理モデルが提案されている.これはデータに隠された構造を可視化するための分析法としても利用できる.このモデルを複数組み合わせて情報分離のモデルを構築した.自分の現在地を認識する場所細胞の一種であるグリッド細胞の発見はノーベル賞の対象となったが,その驚くべき機能の形成モデルもこの方法で構築できる.

連想記憶モデル
情報分離の自己組織モデル
再現されたグリッド細胞成

数理モデルによる生物の研究 (倉田耕治 教授)

(1)生態系の数理モデルによる進化の研究
複数の生物種が生存競争を繰り広げる生態系を微分方程式で表したのがロトカ・ヴォルテラ競争方程式である.進化を,この方程式における係数の微小な変化として捉えることで,ニッチ(生態学的地位)を巡る種間競争や様々なタイプの共進化(複数の種が影響しあって起きる同時進化)を説明する.
(2)化学反応の方程式による複雑な文様形成
反応拡散方程式は,濡れた紙や生物の皮膚組織上で起きる化学反応と拡散を表した偏微分方程式で,シマウマの縞模様やチータの斑点のような簡単な模様を自己組織的に作り出す.この研究では複数の反応拡散方程式を組み合わせて,複雑な模様を作り出すことを目指す.

反応拡散方程式による斑点の形成
ニッチを巡る種間競争
遺伝子間共進化の例

海底均し機構の動作シミュレーション (大城尚紀 准教授)

 本研究では水中での重機(水中バックホウ)を用いた海底均し作業の効率化を目的とし、シミュレーションと実験を通して安全かつ効率の良い海底均しを目指しています。

海底均しシミュレーションのよう
水槽を用いた簡易実験

装着型慣性センサーによるジェスチャ・舞踊動作の解析 (大城尚紀 准教授)

 装着型センサーを用いて舞踊者の動作検出を行なって、それに基づいた動きデータの機械学習等の手法により、動作種類を分類・解析することを目指しています。

センサー装着のようす
全身の骨格検出
目標とする譜面化の例

AIによるデータからの知識発見および未来予測 (宮田龍太 助教)

 私たちは人工知能(artificial intelligence, AI)を使って,データに隠れたパターンやルールを発見し,将来どんなことが起こるか予測する研究を行なっています.いまは脳科学・気象学・生命科学・心理学・スポーツ科学・経済学の6分野を対象に研究しています.例えば気象学では,気象観測データから台風の勢力や進路を予測し,防災に役立たせるための取り組みを行なっています.またスポーツ科学では,野球のボール軌道を解析することで選手のくせを発見し,上達のサポートをめざしています.各分野でデータを提供して頂いている共同研究者がおり,それらの方々と一緒に結果を考察しながら日々研究を進めています.いろんなことをやっていますが,どれも“生き物の思考を理解する”という同じ目標に向かって研究に励んでいます.
 最近では,上で述べた知識発見や未来予測を行うためのデータを収集する装置の開発にも取り組んでいます.下の写真は,卒業制作に相当する講義で学生たちが作った簡易生体計測機器とスマートフォンやタブレットで動作するオンラインゲームアプリです.コンピュータと数学を使ってなにか解明・実現したい方,ぜひ一緒に研究やりましょう!

マイコンを用いた簡易生体計測機器
ゲームエンジンを用いたスマートフォンアプリ

各分野の詳細

分野をクリックすると詳細が表示されます。