流体システム工学
風力発電の性能解析 (天久和正 准教授)
風車ブレードに採用されている翼型について、2次元CFD(Computational Fluid Dynamics)計算を用いて翼性能を予測します。計算結果の精度を実験結果と比較,検証します(図1)。実験では翼まわりの数値を細かく得ることが難しいのですが、図2のようにCFD計算では圧力だけでなく速度や渦度など流れに関する重要な情報を得ながら観察できます。
つぎに、数種類の翼型について同様のCFD計算によりデータ収集を行います。風車ブレードに用いられている翼性能データを使って、風車性能についてBEM(Blade Element Momentum theory)解析します(図3)。実験結果と比較すると、解析結果は最大出力係数がやや低いものの、スラスト係数は定格周速比付近でほぼ一致しています。
固体酸化物形燃料電池内のイオン伝導に関する分子動力学的解析 (永島浩樹 准教授)
本研究では従来の固体酸化物形燃料電池内の酸素イオン伝導と、プロトンを伝導させる固体酸化物形燃料電池内のイオン伝導について、分子動力学法を用いて解析を行っています。電解質膜内の粒界などのナノスケールの構造がイオン伝導に与える影響や、プロトンの量子効果がその伝導性に与える影響などを明らかに、その分子論的メカニズムを解明することで、高いイオン伝導率を示す電解質膜の提案を目指しています。
逆浸透膜内のナノスケール流れに関する研究 (永島浩樹 准教授)
沖縄のような島嶼地域では淡水の安定的な確保は重要な課題であるため、長年海水から真水を得る研究がおこなわれてきました。本研究では、海水淡水化に使用される逆浸透膜内のナノスケールの流れに着目し、分子動力学法を用いて解析を行っています。逆浸透膜に空いているナノスケール細孔の形状などにより流れがどのように変化するのか、またナノスケールの空間において流体の拡散係数がどのように変化などを調べています。これらの知見により、新しい膜の提案や膜の性能評価方法の確立を目指しています。
分子動力学法による水素の熱輸送物性評価 (永島浩樹 准教授)
水素は現在クリーンエネルギーとして注目されており、今後重要の拡大が見込まれています。この水素を安全かつ効率よく使用するためには、水素の熱・輸送物性を正確に把握する必要があります。しかし水素は反応しやすいため、実験により物性値を特定することは難しい状況です。また、水素は特に低温において量子効果の影響が表れるため、従来の手法によりその物性値を予測することは難しいとされています。さらに、水素を他の物質と混合した場合の物性値などの情報は非常に少ないのが現状です。そこで本研究では分子動力学法を用いて水素混合系の熱・輸送物性評価を行っています。
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